面白法人カヤックを退職し、独立しました!
3 月末を持ってカヤックを退職し、独立しました。
まだ 20 人くらいの規模のカヤックに、軽い気持ちで入ってから期間にして 8 年半。
団体行動が苦手な人間としては、かなり長い間働いていたことになりますが、それも一重に、優秀なメンバーに囲まれて働くのが楽しく、いつか独立しようと思うものの、それが伸びに伸びてしまった感があります。
退職後はセオ商事として、しばらくフリーランスで活動をする予定です。
いくつか勉強したいこともあり、また 30 代も中盤になり 1 クリエイターとして、もう一度手を動かしながら色々と作ってみたいという気持ちが高まったため、独立させてもらいました。会社としてはこれからが中々楽しみな時期ではあったのですが、気持ち良く送り出していただいて感謝しています。
妻の会社を少し手伝うという話しもありますが、年度末の案件が忙しく、今後の予定など準備を何もできない状態のまま独立となったので、何かありましたら、是非お気軽にご連絡いただければと思います。またカヤックとも引き続き仕事をいくつか続ける予定なので、どうぞよろしくお願いします。
会社で盛大にお別れ会をしていただいたのですが、普段あまり人を感動させたり、ためになるような話しをするスキルを、あいにく自分は持ち合わせておらず、、どちらかというと全力で尊敬されないよう努力をしてきたのですが(端的に言って、良く分からない面白おじさんと思われることを目指していました)、「作ったものでしか、人は評価されない」という、珍しく自分としては良いことを言った言葉が「心に残った」と後輩に言ってもらえたので、自分の思い出の一環として、紹介できるカヤックで制作したもののうち、いくつかを以下に紹介させて頂きたいと思います。
(企画、実装をおこなったものを中心にピックアップさせて頂きました)
- Flash Developer 時代 -
最初は Flash Developer としてエンジニアをしていたのですが、当時作ったものは殆ど残っていませんでした。。
Web Desining で連載していた Air の記事が単行本化されましたが
Flashで作る AIRアプリケーション レシピブック (Web Designing BOOKS)
- 作者: 面白法人カヤック
- 出版社/メーカー: 毎日コミュニケーションズ
- 発売日: 2009/04/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 6人 クリック: 38回
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残念なことに、AIR があまり盛り上がらず会社で最初に絶版になった本になってしまいました。(関係者の方々、その節はすいませんでした。うぅ…><)
「閃考会議室」
当時の SFC の稲蔭研究室と産学連携で開発したインタラクティブ会議室。自分はエンジニアとして参加させてもらいましたが、助成金の申請をしたり、リリース後に様々なメディアに取り上げられ、思えばこのときに自分の中で、色々と新しい扉が開いた気がしました。自分に取ってまだ知らないインタラクティブなデバイスのノウハウや、アイデアをいただいた植木さん始め、一緒に制作していただいたメンバーに感謝です。
「今日の緑さん」
「閃考会議室」の反響に気を良くして、当時 SFC の田中浩也研究室で植物をインターフェースとしたデバイス制作をおこなっていた、栗林さんと一緒に制作したプロジェクト。恐らく、植物と Web をつなげた最初の事例かと思います。ロイター通信に取材していただき、知らない間に BBC の番組で取り上げられたり、世界中の Yahoo! Topix に取り上げられた結果、WBS の取材中にサーバが落ちるなど、楽しい思い出で一杯です。
Chumby(懐かしい!)をインタフェースに、葉っぱに触ると記念写真を取れるなどギミックが満載でした。会社のカフェの宣伝用に制作したのですが、TIAA ブロンズも受賞できました。
- iPhone 時代 -
「GravSynth / SynthProbe」
SynthProbe with Kaossilator - YouTube
iPhone 3G が国内発売され、社長の「何かつくって」の言葉を「何をつくっても良い」と曲解して作成したシンセアプリ。当時、勉強していたリディアンクロマチックコンセプトを組み合わせ、傾けるとシンセのフィルターとアルペジエーターの音階の調整引力が変わるという個人的にはやり切った感のあるアプリです。
売上としては、あともう一歩なところだったのですが、音楽が趣味なので、この路線はまた掘り下げて行きたいと思っています。
「Let It Sleep」
Let It Sleep - iPhone app - YouTube
当時、夢を録画するということに執着していて「寝言は録音できるけど、夢は録画できない」と煮詰まっていたところ、ふと「寝言の録音でもいいじゃないか」ということに気づいて作成したアプリ。
時を同じくして、遠い親戚にオノ=ヨーコさんがいるということに気づき、このような表現になりました。Android 版を AU KDDI の CM で取り上げていただいたり、NHK の IT ホワイトボックスで取材頂いたりと、調子に乗っていたらストアのランキングで後発のサービスに抜かれるなどの思い出深いアプリです。最新版はカヤックの若手の優秀なエンジニアにリニューアルしてもらいました。ストーリーや世界観を考えながら作るのが今でも一番好きです。
「IdeaPod / Lonely Idea」
何気に発想ツールは閃考会議室はじめ、結構な数を作っていました。今ではブレインストーミングのワークショップをすることもたまにあったりですが、当時はブレストになんとなく苦手意識があり、反動で作っていた気もします。
ブレストについて色々と教えて頂いた IDEAPLANT の石井さんと作成した IdeaPod、KJ 法とマンダラチャートを組み合わせた Lonely Idea など、たまに使っていると言ってくれる人がいてうれしかったです。
- クライアントワーク時代 -
カヤックでの後半は、クライアントと一緒に何か面白いものを作れないかと考えるようになり、クライアントワークチームで制作を主に行うようになりました。
「仙台営業中!でかけよう。Googleプレイス」
震災直後、仙台で行ったキャンペーンのクリエイティブディレクションを担当しました。Web だけでなく、OOH 含め、自分としては初めての規模のキャンペーンだったのですが、大きな転機となった案件です。未だ震災については上手く語ることができないのですが、その後、東北関連の案件をいくつかお手伝いさせていただくことができました。
ちなみにこちらはキャンペーンで制作した android やデバイスを組み合わせ、Google Map を利用した少し未来の案内版。東北六魂祭に合わせて仙台駅に設置しました。その後、Google Japan オフィスや GDD、九州のキャンペーンなど、色々と旅をさせて頂きました。
「Microsoft "もしもソフト"」
もしもソフト 〜 「もしもカフェ店長がソフトをつくったら?」 - YouTube
Microsoft の開発者向けのカンファレンスで、Microsoft の新しい技術を紹介するというブランディングコンテンツです。テクニカルなガジェットを制作して、それをビデオにおさめるという手法に挑戦してみました。kinect や .NET Micro Framework、windows8 を利用し、もし DIY なサイネージをカフェの店長が作ってみたら?というコンテンツになりました。
この案件以降、企画書で "もしも〜" というキーワードをよく使うようになった気がします。
実はコミュニティサイトをつくることに苦手意識がかなりあったのですが、Google+Local のキャンペーンで、みんなに食べた料理を Google+ に上げてもらい、Facemash 方式に投票をするというサイトを作成したら、多くのユーザに楽しんでもらうことができました。
そろそろ 3 年目に入るかという息の長いキャンペーンになりました。デバッグ中はずっと料理写真ばかりを見て、空腹時にはかなり辛かったのが楽しい思い出です。
「原鉄道模型博物館 iPhone アプリ ~ シャングリラ鉄道の旅」
カヤックでの最後の 1 年は、ディレクターのチームリーダーとして売上の管理をしたりプロデューサー的な仕事が多かったのですが、合間を縫ってコードを書いたアプリ。
同じオフィスビルにある原鉄道模型博物館のアプリを制作させていただきました。ものすごいクオリティの鉄道模型に囲まれながら、GoPro で撮影したり夢のような仕事でした。テンションが上がって、デザイナーと一緒に書いたポエムをアプリに入れたところ「もう少しマイルドな表現で…」とクライアントにご指摘頂いた時が MAX に恥ずかしかったです。
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思い出すと、紹介したいものが他にもまだ沢山あるのですが、これから作ってみたいものも同じく多くあるので、まずはここ 2 年ほどさぼっていたコーディングのスキルを取り戻しながら、色々作って行きたいと思います。
それにしても一介のエンジニアとして入ったカヤックでは、色々な経験をさせてもらって、本当に感謝しています。
何はともあれ、まずは新しいサイトや名刺などの準備をしないといけないので、準備ができたところで、またこのブログで紹介させてもらいたいと思います。
今後とも、セオ商事をどうぞよろしくお願いします。